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老後資金の配分チェックシート完全版|3つの箱に分けるだけでプロと同じ「守り重視」の資産配分ができる

「資産配分は難しくて自分には無理」と思っていませんか?

難しく考えすぎることが、60代の資産管理の最大のリスクになることがあります。

プロが実際に60代の資産を整理するとき、最初にやることはシンプルです。老後資金を「目的別に3つの箱に分ける」だけです。難しい金融知識は必要ありません。自分の老後資金がいくらあって、何に使う予定なのかを整理するだけで、配分の全体像が見えてきます。

この記事では、第7回でお伝えしたA・B・C分類を「実際にどう配分するか」という実践的なチェックシートとして整理します。動画と合わせて使うことで、老後資金の管理の全体像が完成します。


この記事を読むと分かること

  • プロが60代の資産配分で重視する3つの考え方
  • A・B・C分類ごとの具体的な配分の方針と確認手順
  • 退職金を受け取った直後にやってはいけないこと
  • 年齢によって変わる配分の考え方
  • 自分の配分が整っているかを5項目で確認するチェックリスト

配分を考える前に確認すること

本題に入る前に、重要な前提を確認します。

配分とは「何のためのお金かを決めること」です。

どの金融商品を選ぶか、という話ではありません。自分の老後資金を目的別に整理することが配分の本質です。目的が決まれば、各分類に何が合うかは自然に絞られます。

この記事は以下の順番で読むと最も効果的です。

  1. 第7回記事「老後資金の3分類チェックシート完全版」で現状把握と分類が完了している
  2. この記事で各分類の配分の考え方と具体的なイメージを確認する
  3. 必要に応じてFP相談で自分のケースを整理してもらう

第7回記事をまだ読んでいない方は、先にそちらからお読みください。


プロが重視する3つの考え方

配分を考えるにあたって、プロが60代の資産管理で重視する3つの考え方を最初に確認します。

考え方① 「増やす」より「使えなくならないこと」を優先する

老後資金の目標は「必要なときに必要な金額を引き出せる状態を維持すること」です。増やすことはその次の話です。

「老後資金を増やさなければ」という焦りが、過剰なリスクを取る原因になります。必要なときに使えなくなることを防ぐことが最優先です。

考え方② 「一括で決めず」「段階的に動かす」

退職金を受け取った直後に全額を一度に動かす必要はありません。まず全体を把握して分類し、少しずつ確認しながら進めることが安全です。

「今すぐ動かさなければ損をする」という感覚は危険なシグナルです。老後資金の配分は急ぐ必要はありません。

考え方③ 「リスクを取る理由」がある部分だけリスクを取る

目的なくリスクを取ることはしません。10年以上使わないお金(C分類)には時間的余裕があるため、インフレへの対応という目的でリスクを取る理由があります。しかし5年以内に使う予定のお金にリスクを取る理由はありません。

この3つの考え方が、以下のすべてのチェックシートの土台になります。


チェックシート① A分類(流動性資金)の配分確認

A分類の配分方針

A分類のお金は「守るだけでいい分類」です。ここにリスクを取る必要はありません。

配分の基準

  • 月の生活費の24ヶ月分を普通預金に置く
  • 緊急時に24時間以内に引き出せる口座
  • 元本が絶対に減らない口座

A分類のお金を定期預金や投資に回してしまうと、本当に必要なときに引き出せない事態が起きることがあります。「少しでも金利を上げたい」という気持ちは理解できますが、A分類の優先事項は金利ではなく流動性です。

A分類の金額計算

項目金額
月の生活費(固定費+変動費+特別費月割り)   円
× 24ヶ月
A分類の目標金額   円

A分類のチェックリスト

□ A分類の目標金額(月の生活費×24ヶ月)を計算した
□ この金額が普通預金で確保されている
□ 緊急時に24時間以内に引き出せる口座に入っている
□ A分類の資金は「配分の対象外」として今後も動かさないと決めた
□ 配偶者もA分類の口座と金額を把握している

A分類が未確保の場合: B・C分類の配分を考える前に、A分類の確保が最優先課題です。定期預金や保険の解約・解約返戻金の確認を先に行ってください。

A分類が過剰な場合(月の生活費の36ヶ月分を超えている場合): 超過分はB・C分類への移動を検討する価値があります。過剰なA分類はインフレリスクを長期間引き受け続けることになります。


チェックシート② B分類(中期資金)の配分確認

B分類の配分方針

B分類は「元本を守りながら、使う時期に合わせた置き方を選ぶ」分類です。

全額を普通預金に置いたままではインフレで実質的に目減りしますが、リスクの高い置き場所も向きません。B分類の難しさは、この矛盾した要求をどう満たすかにあります。

考え方のポイント:使う時期で細分化する

B分類を一律に扱う必要はありません。使う時期によって細かく分けることが有効です。

細分類使う時期考え方
B-近3〜5年以内いつでも動かせる状態を維持。流動性を優先
B-遠5〜10年後時間的余裕がある分、少し長めの視点で置くことを検討

B分類の支出リスト(第7回からの転記)

第7回記事で書き出した内容をここに転記してください。

支出の内容予定時期予定金額B-近/B-遠
住宅リフォーム・修繕  年後  万円
車の買い替え  年後  万円
旅行・帰省(大型)  年後  万円
子ども・孫への支援  年後  万円
医療費の大きな備え随時  万円
その他  年後  万円
B分類の合計  万円

B分類のチェックリスト

□ B分類の支出リストが書き出せている
□ 各支出を「3〜5年以内(B-近)」か「5〜10年後(B-遠)」かに分けた
□ B分類全体の合計金額が確定している
□ B分類のお金はA分類とは別の口座・別の管理で扱っている
□ B-近のお金をリスクの高い方法で置こうとしていない
□ 配偶者もB分類の内容と金額を把握している

B分類が明確でない場合: 「いつ使うか分からないお金」はすべてC分類として一時的に保留し、使う予定が具体化した時点でB分類に移動する方法が現実的です。


チェックシート③ C分類(長期資金)の配分確認

C分類の配分方針

C分類は老後資金の中で「最も選択肢が広がる分類」です。10年以上という時間的余裕が、A・B分類にはない可能性を作ります。

ただし、目標を「増やすこと」に設定してはいけません。**60代のC分類の目標は「インフレに対応してお金の価値を守ること」**です。この目標設定の違いが、適切なリスクの取り方を決定します。

C分類のさらなる細分化

C分類をさらに2つに分けることが、より精度の高い配分を可能にします。

細分類特徴金額の決め方
C-守り絶対に減らしたくない部分「相場が半分になっても絶対に守りたい金額」で設定
C-対応ある程度の変動を受け入れられる部分C分類全体からC-守りを引いた残り

C-対応の金額を決める判断基準

「相場が30〜50%下落したとき、夜眠れなくなるほど不安になる金額かどうか」が基準です。不安を感じないで持ち続けられる金額の範囲だけをC-対応に入れます。この金額は人によって大きく異なります。「ゼロでも構わない」という方はC-守りだけで全部を持つことが正解です。

C分類の金額計算

C分類の合計 = 老後資金の総額 − A分類 − B分類

C-守りの金額 = 「相場が半分になっても絶対に守りたい金額」
C-対応の金額 = C分類の合計 − C-守り
項目金額
老後資金の総額   万円
A分類△  万円
B分類△  万円
C分類の合計   万円
C-守り(絶対に守りたい部分)   万円
C-対応(変動を受け入れられる部分)   万円

C分類のチェックリスト

□ C分類の合計金額を計算した
□ C-守りの金額を「精神的に許容できる基準」で設定した
□ C-対応の金額が「相場が下落しても売らずに10年以上待てる金額」になっている
□ C-対応をゼロにすることも正解の選択肢として検討した
□ C分類の「引き出し計画」(いつ頃から・どのくらいのペースで)を大まかに考えた
□ 配偶者とC分類の方針について話し合っている

全体配分チェックシート(記入・確認版)

3つの分類をまとめて確認するシートです。

現在の配分状況

分類目的目標金額現在の置き場所整合性
A分類(流動性)月の生活費×24ヶ月  万円普通預金□ OK
B-近(中期・近)3〜5年以内の支出  万円□ OK
B-遠(中期・遠)5〜10年後の支出  万円□ OK
C-守り(長期守り)絶対に守りたい部分  万円□ OK
C-対応(長期対応)変動を受け入れる部分  万円□ OK
合計  万円

全体配分の確認チェックリスト(5項目)

□ ① 老後資金の総額を把握している

□ ② A分類(月の生活費×24ヶ月分)が普通預金で確保されている

□ ③ B分類(3〜10年以内の支出)の金額とおおよその時期が分かっている

□ ④ C分類のうち「絶対に守りたい部分(C-守り)」の金額が決まっている

□ ⑤ 配偶者と老後資金全体の配分を共有している

4つ以上当てはまる: 配分の基本が整っています。定期見直しのスケジュールを設定してください。

3つ以下: 当てはまらなかった項目から順番に進めてください。①が最優先です。


60代の資産配分でよくある3つのミス

チェックシートを使いながら、自分が以下のミスに陥っていないかも確認してください。

❌ ミス① 全体の把握なしに「とりあえず投資を始める」

A・B分類が確保されていない状態での投資は、本当に必要なときに損を抱えたまま売らざるを得ない状況を作ります。

投資を始める前に、A分類の確保が完了していることを必ず確認してください。

確認質問: A分類のチェックリストを全部クリアする前に投資を検討していないか?


❌ ミス② 退職金を受け取った直後に全額を一括で動かす

退職金が口座に入ったばかりの状態で、金融機関の窓口で勧められるままに全額を動かすことは最も危険なパターンです。

退職金が入った後、少なくとも3〜6ヶ月は動かさずに全体像を把握することを推奨します。「今すぐ動かさないと損をする」という言葉には慎重になってください。

確認質問: 退職金を受け取ってから3ヶ月以上、全体の整理をする時間を取れているか?


❌ ミス③ C分類を「増やすための資金」として捉える

C分類に「老後資金を増やさなければ」という目標を設定すると、過剰なリスクを取りやすくなります。

60代のC分類の目標は「インフレに対応してお金の価値を守ること」です。元本が大幅に減るリスクを取る必要はありません。

確認質問: C-対応の金額の設定が「増やしたい」という欲求ではなく、「変動を受け入れられる金額の上限」を基準にしているか?


年齢による配分の考え方の変化

60代の配分は年齢によっても変わります。現在の年齢に合わせた注意点を確認してください。

60〜64歳(定年前後)

優先事項内容
最優先老後資金全体の把握と分類の完了
次にA分類の確保
その後B・C分類の整理
注意退職金が入る時期と重なる。急いで動かさないこと

この年代の最大のリスクは「退職金が入った興奮状態で大きな判断をすること」です。まず全体を整理してから、少しずつ動かす順番を守ってください。

65〜69歳(年金受給開始後)

変化するポイント内容
A分類の再計算年金収入が確定することでA分類の必要額が変わる可能性がある
B分類の更新使う予定の支出リストを更新する
引き出し計画C分類をいつ・どのくらいのペースで引き出すかを同時に考える

年金収入で月の生活費が概ねカバーできる場合、A分類として確保が必要な預金額は減ります。その分をB・C分類に移す余地が生まれます。年金受給開始後は、この再計算を行うことが重要です。


配分の定期見直しの仕組みを作る

配分は一度決めたら終わりではありません。定期的に確認することが前提の考え方です。

年1回の定期確認(誕生月に実施する)

□ 各分類の残高を確認した
□ A分類の目標金額(月の生活費×24ヶ月)が変わっていないか確認した
□ B分類の支出リストを更新した(新しい予定の追加・完了した支出の削除)
□ C分類の引き出し計画を確認した
□ 家計全体の収支状況に変化がないか確認した
□ 配偶者と確認結果を共有した

ライフイベント時の臨時確認

以下のイベントが発生した場合は、定期確認を待たずに配分の見直しを行います。

ライフイベント見直すポイント
退職・年金受給開始A分類の必要額の再計算・全体の再分類
配偶者の就労状況変化収入と生活費のバランスの再確認
健康状態の変化A分類の増額・医療費備えの確認
家族の変化(孫の誕生など)B分類の支出予定の更新
大きな支出の発生各分類の残高確認と補充計画の検討

シリーズ全体を通じた確認チェック

この記事は第7〜9回シリーズの最終記事です。シリーズ全体を通じて以下が揃っているかを確認してください。

【第7回で完了すること】
□ 老後資金の総額を把握した
□ A・B・C分類への振り分けが完了した
□ インフレが老後資金に与える影響を数字で理解した

【第8回で完了すること(該当者のみ)】
□ NISAの向き不向きチェックリストで自分の判定が出た
□ 判定結果に応じた次のアクションが明確になった

【第9回で完了すること(この記事)】
□ A・B・C分類それぞれの配分方針が理解できた
□ 全体配分チェックリスト5項目の確認が完了した
□ C分類のC-守りとC-対応の金額が決まった
□ 定期見直しの日程をカレンダーに入れた

この3つがすべて揃ったとき、老後資金の管理の全体像が完成します。


今日やること(1つだけ)

この記事を読み終えたあとに、1つだけ作業してください。

「全体配分チェックリスト5項目」に今すぐ印をつけてください。

4つ以上印がついた方は、今日やることは「定期見直しの日程をカレンダーに入れること」です。誕生月など覚えやすいタイミングを設定してください。

3つ以下だった方は、印がつかなかった項目のうち、①(老後資金の総額把握)から着手してください。第7回記事のSTEP 1「現状の把握」の表を埋める作業が出発点です。


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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の推奨や個別の投資・税務・法務上の助言ではありません。具体的な判断はファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。本記事はPRを含みます。

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