複数の借金を抱えて返済に困ったとき、「債務整理」と「おまとめローン」という2つの選択肢があることをご存知でしょうか。
どちらも借金問題を解決するための方法ですが、仕組みや特徴、メリット・デメリットは大きく異なります。
この記事では、債務整理とおまとめローンの違いを詳しく解説し、自分の状況に合った選択ができるようサポートします。
借金問題で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
この記事はこんな方におすすめ
- 借金問題で「おまとめローンか債務整理か」迷っている方
- 両者のメリット・デメリットを比較したい方
- 専門家目線での適切な選択基準を知りたい方
債務整理とおまとめローンの基本的な違い

借金の解決策として挙げられる債務整理とおまとめローンの違いについて解説します。
債務整理とは
債務整理とは、法的な手続きを用いて借金を整理する方法です。
具体的には、将来利息のカット、元金の減額、あるいは債務の全額免除などを行います。
弁護士や司法書士などの専門家を介して手続きを進めるのが一般的です。
おまとめローンとは
おまとめローンは、複数の借金を一本化して管理しやすくするローン商品です。
高金利の借入を低金利のローンに借り換えることで、毎月の返済額や総返済額を減らすことができます。
債務整理とは異なり、法的手続きではなく、新たな借入を行う点が特徴です。
基本的な違いの比較表
比較項目 | おまとめローン | 債務整理 |
---|---|---|
借金額 | 増加(手数料含む) | 減少 |
信用情報 | 通常記載なし | 事故記録(5~10年) |
返済期間 | 長期化(7~15年) | 短期化(3~5年) |
手続き費用 | 借入金利のみ | 10~50万円 |
財産リスク | なし | 自己破産時は没収 |
債務整理の種類と特徴

債務整理には主に4種類あり、それぞれ特徴が異なります。
任意整理
債権者と交渉して将来利息のカットや返済期間の延長を行う手続きです。
メリット
- 裁判所を通さないため比較的手続きが簡単
- 財産を手放す必要がない
- 資格制限がない
デメリット
- 元金は基本的に減額されない
- 信用情報機関に記録が残る(約5〜7年)
- 交渉次第で条件が変わる
特定調停
簡易裁判所を通じて債権者と交渉し、返済計画を立てる手続きです。
メリット
- 裁判所が間に入るため信頼性が高い
- 財産を手放す必要がない
- 手続費用が比較的安い
デメリット
- 元金は基本的に減額されない
- 信用情報機関に記録が残る
- すべての債権者が応じるとは限らない
個人再生
裁判所を通じて債務を大幅に減額(最大5分の1まで)する手続きです。
メリット
- 借金が大幅に減額される
- 住宅ローン特則を使えば住宅を残せる可能性がある
- 安定収入があれば利用しやすい
デメリット
- 手続きが複雑で費用も高め
- 信用情報機関に記録が残る(約5〜10年)
- 一定の収入が必要
自己破産
裁判所を通じて借金をゼロにする最も強力な手続きです。
メリット
- 借金が免除される
- 差し押さえや取り立てが止まる
- 生活必需品は残せる
デメリット
- 一定の財産は処分される
- 信用情報機関に記録が残る(約7〜10年)
- 一部の資格制限がある
おまとめローンの仕組みとメリット・デメリット

対するおまとめローンのメリットとデメリットを解説していきます。
おまとめローンの仕組み
おまとめローンは、複数の借入先から借りている債務を一社にまとめる借り換えローンです。
主に銀行や消費者金融が提供しています。
審査に通れば新たなローンを組み、そのお金で既存の借金を一括返済します。
主なおまとめローンの種類
銀行系おまとめローン
- 金利:年3〜14%程度
- 限度額:最大800万円程度
- 特徴:金利が低めだが審査が厳しい
消費者金融系おまとめローン
- 金利:年7〜18%程度
- 限度額:最大500万円程度
- 特徴:審査が比較的通りやすいが金利が高め
信用金庫・JA系おまとめローン
- 金利:年3〜15%程度
- 限度額:最大500万円程度
- 特徴:地域密着型で対応が丁寧
おまとめローンのメリット
1. 返済管理が簡単になる
複数あった返済先が一本化されるため、返済日や返済額の管理が容易になります。
2. 総返済額が減少する可能性がある
高金利ローンから低金利ローンに借り換えることで、総支払利息を削減できる場合があります。
3. 毎月の返済額を調整できる
返済期間を調整することで、毎月の返済額を減らすことができます。
4. 信用情報に悪影響がない
債務整理と異なり、きちんと返済していれば信用情報に悪影響を与えません。
おまとめローンのデメリット
1. 審査に通らない可能性がある
すでに多額の借金がある場合や支払い遅延歴がある場合、審査に通りにくくなります。
2. 借金総額は減らない
元金は減らないため、返済期間が長くなると総返済額が増える可能性もあります。
3. 保証人や担保が必要な場合がある
金額が大きい場合、保証人や担保を求められることがあります。
4. 新たな借入につながるリスク
一本化したことで返済に余裕ができると、新たな借入をしてしまうリスクがあります。
債務整理とおまとめローン - どちらを選ぶべきか

あなたの状況に合った選択をするために、以下のポイントを確認しましょう。
おまとめローンが適している人
- 返済に遅れたことがなく、信用情報に問題がない人
- 借金の総額が年収の3分の1程度以下の人
- 安定した収入がある人
- 高金利の借入が多く、借り換えで利息負担を減らせる人
- 信用情報に傷をつけたくない人
債務整理が適している人
- すでに返済が遅れがちになっている人
- 借金の総額が年収の3分の1を超えている人
- 毎月の返済額が手取り収入の20%を超えている人
- 借金のために新たな借金をしている(自転車操業状態)人
- おまとめローンの審査に通らなかった人
失敗しない選択基準5つ

これまで紹介してきた方法の中でどれがあなたに合っているかの基準を紹介します。
基準1. 借金総額
- 500万円未満: おまとめローン検討
- 500万円超: 債務整理が有利(個人再生で90%減額可能)
基準2. 収入状況
- 安定収入あり: おまとめローン可能
- 無職/低収入: 債務整理推奨
基準3. 住宅保有の有無
- 住宅あり: 個人再生(住宅特約利用)
- 住宅なし: 自己破産も選択肢
基準4. 心理的負担
- ストレス軽減優先: 債務整理(借金ゼロ目標)
- 信用維持優先: おまとめローン
基準5. 今後の資金計画
- 5年以内の大型購入予定: おまとめローン
- 当面借入不要: 債務整理
おまとめローンから債務整理へ - タイミングと判断基準

おまとめローンを検討したが難しい、またはおまとめローンを利用しても返済が厳しい場合は、債務整理を検討するタイミングかもしれません。
おまとめローンから債務整理へ移行すべきサイン
1. おまとめローンの審査に通らない
これは借金問題がすでに深刻化している可能性を示しています。
2. おまとめローン後も返済が厳しい
おまとめローンで一本化しても毎月の返済が厳しい場合は、債務整理を検討する時期です。
3. 複数回おまとめローンを利用している
おまとめローンを繰り返し利用している場合、根本的な解決になっていない証拠です。
4. 債務の雪だるま式増加
おまとめローン後も債務総額が増え続けている場合は要注意です。
専門家への相談タイミング
以下のいずれかに当てはまる場合は、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
- 毎月の返済額が手取り収入の20%を超えている
- 借金返済のために新たな借入をしている
- 給料日前にはいつもお金が足りなくなる
- 債権者からの取り立てが厳しくなっている
- 借金について家族に相談できない状況がある
よくある質問と回答
Q1: おまとめローンを利用した後でも債務整理はできますか?
A: はい、できます。
ただし、おまとめローンを組んだ直後に債務整理をすると、「詐欺的借入」と判断される可能性があるため注意が必要です。
一般的には、おまとめローンを組んで数ヶ月以上真面目に返済した後であれば問題ないとされています。
Q2: 債務整理をすると、今後借入ができなくなりますか?
A: 完全にできなくなるわけではありませんが、債務整理の内容によって信用情報機関に5~10年間記録が残るため、その期間は新規借入が困難になります。
ただし、期間経過後は徐々に借入可能になることが多いです。
Q3: おまとめローンの審査に通りやすくするコツはありますか?
A: 以下の点に注意すると審査通過率が上がる可能性があります。
- 返済実績を数ヶ月間しっかり作る
- 安定した収入を証明できる書類を用意する
- 他の借入の返済に遅れないようにする
- 借入希望額を必要最小限に抑える
- 可能であれば保証人をつける
Q4: おまとめローンと債務整理はどちらが費用がかかりますか?
A: 一般的に、債務整理の方が初期費用はかかります。
弁護士・司法書士への報酬や裁判所への手数料などで、手続きによって10万円~50万円程度必要です。
一方、おまとめローンは基本的に借換えなので初期費用は低いですが、長期的には利息支払いが発生します。
Q5: 住宅ローンがある場合、債務整理とおまとめローンはどう影響しますか?
A: 個人再生の「住宅ローン特則」を使えば住宅を残しながら他の債務を整理できる可能性があります。
一方、おまとめローンは住宅ローンとは別枠で組むことが一般的で、住宅ローン自体には直接影響しません。
ただし、おまとめローンの借入で総債務が増えると、将来的な住宅ローンの借り換えなどに影響する可能性があります。
まとめ
債務整理とおまとめローン、どちらが良いかは一概には言えません。
あなたの借金状況、収入状況、将来のライフプランによって最適な選択は変わります。
債務整理を検討すべき人:
- すでに返済が厳しく、遅延が発生している
- 借金総額が年収の3分の1を大きく超えている
- 毎月の返済額が収入の20%以上を占めている
- おまとめローンの審査に通らない
おまとめローンを検討すべき人:
- 返済履歴に問題がなく、審査に通る可能性がある
- 複数の高金利借入を低金利に借り換えられる
- 借金総額が年収に対して過大ではない
- 安定した収入がある
どちらの選択が正解かわからない場合は、まずは無料相談を利用して専門家に相談することをおすすめします。
弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなど、借金問題に詳しい専門家の意見を聞くことで、より適切な判断ができるでしょう。
借金問題は早めの対応が重要です。問題を先送りにせず、今日から解決に向けて一歩を踏み出しましょう。