債務整理をした後に「どうしてもお金が必要になった」「いつになったら再びお金を借りられるようになるのか」と悩んでいる方は少なくありません。
債務整理は借金問題を解決する有効な手段ですが、その後一定期間は新たな借入が難しくなるというデメリットがあります。
この記事では、債務整理後にお金を借りる方法や時期、注意点について詳しく解説します。
債務整理の種類ごとの借入制限期間や、実際に借りられるようになるまでの目安、そして債務整理中・直後でもお金を工面する方法まで、包括的に紹介していきます。
この記事はこんな方におすすめ
- 債務整理中でも緊急でお金が必要な方
- 任意整理後いつから借り入れ可能か知りたい方
- ブラックリスト掲載中でも利用できる金融サービスを探している方
債務整理後はなぜお金を借りにくくなるのか

債務整理後に新たな借入れが難しくなる主な理由は、信用情報機関に「債務整理をした事実」が記録されるためです。
信用情報機関への登録
日本には主に以下の信用情報機関があり、債務整理の情報が共有されます。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- JICC(日本信用情報機構)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
金融機関は融資の審査をする際、これらの信用情報機関に照会を行い、申込者の返済履歴や債務整理歴をチェックします。
債務整理の記録がある場合、返済能力や信用性に問題があると判断されやすくなります。
ブラックリストとは違う
よく「債務整理をするとブラックリストに載る」という表現を耳にしますが、厳密には「ブラックリスト」という公式のリストは存在しません。
あくまで信用情報に債務整理の事実が記録され、それを金融機関が審査の際に参照するというシステムです。
債務整理の種類別・借入制限期間

債務整理の方法によって、信用情報機関に記録が残る期間は異なります。
以下に詳しく見ていきましょう。
手続き種類 | 借入制限期間 |
---|---|
任意整理 | 完済後5年 |
個人再生 | 再生計画完了後(3年程度)+ 数年 |
自己破産 | 免責後7年以上 |
任意整理後の借入制限
- 信用情報登録期間:約5〜7年間
- 借入可能になる時期の目安:整理完了後5年程度
- 特徴:債権者ごとに和解するため、和解していない金融機関からは借りられる可能性がある
個人再生後の借入制限
- 信用情報登録期間:約5〜10年間
- 借入可能になる時期の目安:再生計画完了後(3年程度)+ 数年
- 特徴:裁判所を通した法的整理のため、ほとんどの金融機関で審査に通りにくい
自己破産後の借入制限
- 信用情報登録期間:約7〜10年間
- 借入可能になる時期の目安:免責後7年以上
- 特徴:最も厳しい借入制限がかかり、信用回復に最も時間がかかる
任意整理中の借入れは可能か?
任意整理は手続き中でも法的な借入制限はありませんが、実際には以下の理由から借入れは難しくなります。
- 任意整理着手時点で信用情報に記録が残る
- 収入に対して債務が多いと判断される
- 新たな借入れが「詐欺的借入」と判断されるリスク
債務整理後にお金を借りる方法

債務整理後も時間の経過とともに、段階的に借入れの可能性は高まっていきます。
以下に、可能性の高い順に紹介します。
①審査の緩いカードローン・消費者金融
- 特徴:中小消費者金融や審査基準の緩いローン会社
- 借入可能時期:債務整理後3〜5年程度
- 注意点:金利が高い傾向にある(15%〜20%程度)
- 具体例:街の小規模貸金業者、オンライン完結型の中小消費者金融など
②保証人や担保がある借入れ
- 特徴:家族や親族に保証人になってもらうか、担保を提供する借入れ
- 借入可能時期:債務整理後比較的早い段階から
- 注意点:保証人に迷惑をかけるリスクや、担保を失うリスクがある
- 具体例:不動産担保ローン、保証人付きの銀行ローンなど
③信用金庫・JA(農協)のローン
- 特徴:地域密着型の金融機関で、人間関係や勤続年数を重視する場合がある
- 借入可能時期:債務整理後5年程度
- 注意点:会員資格や地域住民であることが条件のケースがある
- 具体例:地元の信用金庫の目的別ローン、JAの組合員向けローンなど
④大手銀行・消費者金融
- 特徴:審査基準が厳格で、信用情報を重視する
- 借入可能時期:債務整理後7〜10年程度
- 注意点:信用情報の記録が消えるまでは審査に通りにくい
- 具体例:メガバンクのカードローン、大手消費者金融の無担保ローンなど
⑤クレジットカード
- 特徴:少額から利用でき、リボ払いで事実上の借入れとなる
- 借入可能時期:債務整理後5年程度から審査に通りやすくなる
- 注意点:まずはショッピング専用の審査の緩いカードから作るのが現実的
- 具体例:デパート系クレジットカード、流通系クレジットカードなど
債務整理中・直後でもお金を工面する方法

債務整理中や直後でも、以下の方法でお金を工面できる可能性があります。
公的支援・制度の活用
- 生活福祉資金貸付制度:低所得者向けの低利または無利子の貸付制度
- 緊急小口資金:緊急かつ一時的な生計維持のための少額の貸付
- 住居確保給付金:住居を失うおそれのある方に対する家賃相当額の給付
- 各種助成金・給付金:自治体独自の支援制度もあるので確認が必要
親族・知人からの借入れ
- メリット:信用情報の影響を受けない
- 注意点:返済計画を明確にし、できれば借用書を作成する
- アドバイス:使途を明確に説明し、返済の意思を示すことが大切
給料ファクタリング(給料前払いサービス)
- 仕組み:給料の一部を事前に受け取れるサービス
- 特徴:審査が比較的緩く、信用情報の影響を受けにくい
- 注意点:手数料が高い場合や、貸金業法の脱法行為となる悪質なサービスも存在
資産の売却・活用
- 不用品の売却:フリマアプリやリサイクルショップの活用
- スキル・時間の活用:副業、アルバイト、フリーランス業務
- シェアリングエコノミー:空き部屋の貸し出し、車のシェアなど
絶対に避けるべき危険な借入

✖ 闇金融(ヤミ金)
- 法外な金利(年率1000%超)
- 暴力団関与の恐れ
- 特徴: 「ブラックOK」「即日融資」を謳う広告
✖ サラ金の多重借り換え
- 債務整理中の新規契約は違約金発生
- 総量規制対象(年収1/3超の返済不可)
✖ クレジットカードのキャッシング
- 債務整理対象カードは即時利用停止
- 違反利用で刑事罰の可能性
ケース別おすすめ資金調達法
必要金額 | 期間 | 最適な方法 |
---|---|---|
5万円以下 | 緊急 | 自治体小口資金 |
10~50万円 | 1ヶ月以内 | 生命保険貸付 |
50~100万円 | 長期 | 生活福祉資金 |
100万円超 | - | 親族借入+公的支援 |
債務整理後の借入れで気をつけるべきこと

債務整理後に再び借入れを検討する際は、以下の点に特に注意しましょう。
借入れのタイミング
- 信用情報の記録が消えるまでは、原則として大手金融機関の審査は通りにくい
- 債務整理後すぐの借入申込みは「詐欺的借入」と判断されるリスクがある
- まずは数年間、真面目に生活し、信用を回復させることが重要
再度の債務問題を防ぐために
- 借入目的を明確に:生活必需品や緊急時のためなど、目的を明確にする
- 返済計画を立てる:月々の返済額が収入の何%になるか計算する(目安は手取りの10%以下)
- 複数社からの借入れを避ける:一社からの借入れにとどめる
- 借金の連鎖を断つ:借金返済のための借金は絶対に避ける
審査通過率を上げるポイント
- 安定した収入の確保:正社員または長期的な雇用契約がある仕事に就く
- 住所や勤務先の安定:頻繁な引っ越しや転職は避ける
- 携帯電話料金や公共料金の滞納をしない:小さな信用も大切にする
- 少額からスタート:最初は少額の借入れから始め、返済実績を作る
よくある質問
Q1: 債務整理中にクレジットカードを作ることはできますか?
A: 基本的には難しいです。
債務整理の手続き中は信用情報に「債務整理中」という情報が登録されるため、ほとんどのクレジットカード会社は審査で落とす傾向にあります。
まずは債務整理を完了させ、その後数年間は信用回復に努めることをおすすめします。
Q2: 債務整理後、最も早く借りられるお金の種類は何ですか?
A: 一般的には、審査基準の緩い中小消費者金融のカードローンや、担保・保証人付きの借入れが比較的早く利用できる可能性があります。
また、生活福祉資金貸付などの公的支援制度は、債務整理の影響を受けにくい場合があります。
Q3: 債務整理後にお金を借りる際、過去の債務整理について嘘をついても大丈夫ですか?
A: 絶対にやめましょう。
申込書に虚偽の記載をすると「詐欺的行為」となり、法的責任を問われる可能性があります。
また、金融機関は信用情報機関を通じて債務整理の履歴を確認できるため、嘘はすぐに発覚します。
正直に申告し、状況を説明する方が信頼関係を築く上で重要です。
Q4: 債務整理後も住宅ローンは組めますか?
A: 債務整理後すぐに住宅ローンを組むことは非常に難しいですが、信用情報の記録が消える7〜10年後であれば可能性が出てきます。
個人再生で住宅ローン特則を利用した場合は、その住宅ローンのみ継続可能ですが、新規の住宅ローンは債務整理の影響が消えるまで難しいでしょう。
Q5: 債務整理後に配偶者や家族名義でローンを組むことはできますか?
A: 法律上は可能ですが、「名義貸し」として金融機関の規約違反になる場合があります。
また、実質的な借主が返済できなくなった場合、名義人が全額返済する責任を負うことになります。
家族間のトラブルの原因にもなるため、このような方法は避けるべきです。
まとめ
債務整理後にお金を借りることは決して不可能ではありませんが、すぐに以前と同じように借入れができるわけではありません。
時間をかけて信用を回復させ、計画的に行動することが大切です。
債務整理後の信用回復ステップ
- 生活基盤の安定化:安定した収入源を確保し、生活費の見直しを行う
- 小さな信用の積み重ね:携帯電話料金や公共料金の期限内支払いを徹底する
- 貯蓄の習慣づけ:収入の一部を必ず貯蓄に回す習慣をつける
- 信用取引の再開:デビットカードなど、少額の決済手段から始める
- 小規模な借入れ:少額から借入れを始め、確実に返済する実績を作る
健全な借入れの心得
- 借入れは「一時的な資金需要」に対してのみ行う
- 返済能力の範囲内で借りる(月々の返済額は手取り収入の10%以下が目安)
- 借りる前に他の選択肢(貯蓄の取り崩し、支出の削減、収入増加策)を検討する
- 複数の金融機関から借りない
- 金利や返済条件をしっかり確認する
債務整理は借金問題からの再出発の機会です。
この経験を教訓に、計画的な家計管理と健全な金融習慣を身につければ、将来的には再び必要な時にお金を借りることも可能になります。
焦らず、一歩一歩信用を回復させていきましょう。
専門家へ相談する選択肢
債務整理後の生活設計や、再度の借入れを検討する際には、弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも選択肢の一つです。
自分の状況に合った適切なアドバイスを受けることで、より安心して再建への道を進めることができるでしょう。