「借金がかさんできたけど、債務整理は借金額がいくらからできるの?」「少額の借金でも債務整理はできる?」
このような疑問を持つ方は少なくありません。
債務整理は借金問題を解決する有効な手段ですが、実際にどの程度の借金額から検討すべきなのかについては、明確な情報が不足していることがあります。
この記事では、債務整理の種類別に必要な借金額の目安や、債務整理にかかる費用について詳しく解説します。
借金問題でお悩みの方の参考になれば幸いです。
この記事はこんな方におすすめ
- 借金問題を抱えていて「債務整理を検討すべきか」悩んでいる方
- 「自分の借金額では債務整理できるのか」知りたい方
- 任意整理・個人再生・自己破産の違いを金額面から理解したい方
債務整理とは?種類と特徴

債務整理とは、返済が困難になった借金を法的な手続きによって整理する方法です。
主に以下の4種類があります。
任意整理
- 債権者と直接交渉して、将来利息のカットや返済期間の延長を行う
- 裁判所を通さない比較的簡易な手続き
- 原則として元金は減額されない
特定調停
- 簡易裁判所が間に入って債権者と交渉する手続き
- 将来利息のカットや返済期間の延長が主な内容
- 任意整理よりも強制力がある
個人再生
- 裁判所を通じて、借金を最大5分の1まで減額できる手続き
- 住宅ローンを除外する特則あり(住宅を残せる可能性がある)
- 一定の収入がある人向け
自己破産
- 裁判所によって借金をゼロにする最も強力な手続き
- 一部の財産は処分される可能性がある
- 資格制限など一定のデメリットがある
債務整理はいくらの借金からできるのか

債務整理は法律上、最低金額の規定はありません。
しかし、実務上は債務総額や収入に対する返済負担率などを考慮して、債務整理が適切かどうかが判断されます。
債務整理を検討する一般的な目安
- 返済負担率:手取り収入の20%以上が借金返済に充てられている
- 複数社からの借入:2社以上から借り入れがあり、返済が厳しい
- 元金が減らない:毎月返済しているのに、元金がほとんど減らない
- 返済のために借入:借金返済のために新たな借金をしている(自転車操業)
債務整理の種類別・最低額の目安

各債務整理方法について、実務上で一般的に考えられている「最低借金額」の目安を見ていきましょう。
任意整理の借金額目安
- 最低額:特に決まりはないが、実務上は10万円程度から
- 適している借金額:50万円~300万円程度
- メリット:比較的少額の借金でも対応可能
特定調停の借金額目安
- 最低額:目安として30万円程度から
- 適している借金額:50万円~500万円程度
- 特徴:少額でも裁判所が関与するため信頼性が高い
個人再生の借金額目安
- 最低額:法律上の制限はないが、実務上は100万円程度から
- 上限額:5,000万円未満(それ以上は大規模個人再生となる)
- 適している借金額:500万円~3,000万円程度
- 注意点:借金額が少なすぎると費用対効果が悪くなる場合がある
自己破産の借金額目安
- 最低額:金額の下限はないが、実務上は100万円以上が多い
- 適している借金額:返済の見込みがない場合や、債務総額が収入に比べて明らかに過大な場合
- 注意点:少額債務の場合、他の債務整理方法を検討すべき場合もある
債務整理にかかる費用の内訳

債務整理を行う際には、いくらの費用がかかるのかも重要なポイントです。
債務整理の種類別に費用の内訳を見ていきましょう。
任意整理の費用
- 着手金:1社あたり2万円~4万円程度
- 成功報酬:減額できた金額の10%~20%程度
- 合計目安:3社の債権者の場合、15万円~30万円程度
特定調停の費用
- 申立手数料:債権者1社につき500円~1,000円程度
- 弁護士・司法書士費用:15万円~25万円程度
- 合計目安:15万円~30万円程度
個人再生の費用
- 申立手数料:約1万円
- 予納金:約5万円
- 弁護士費用:30万円~50万円程度
- 合計目安:40万円~60万円程度
自己破産の費用
- 申立手数料:約1万円
- 予納金:約2万円~20万円(管財事件の場合は高額)
- 弁護士費用:20万円~40万円程度
- 合計目安:同時廃止事件で20万円~30万円、管財事件で40万円~60万円程度
※費用は地域や事務所によって差があります。多くの弁護士・司法書士事務所では分割払いに対応しています。
少額債務でも債務整理を検討すべきケース

借金額が少なくても、以下のような状況では債務整理を検討する価値があります。
収入に対して返済負担が大きい場合
- 非正規雇用や低収入で、少額でも返済が厳しい
- 病気や失業などで収入が減少している
金利が高い借り入れの場合
- 消費者金融やカードローンなど高金利の借入が多い
- 利息だけで精一杯で元金が減らない
債権者からの取り立てが厳しい場合
- 頻繁な電話や訪問で精神的苦痛がある
- 職場への連絡があり仕事に支障が出ている
自力返済の見込みがない場合
- 返済計画を立てても実行が難しい
- 収入増加の見込みがない
ケーススタディ
ケース | 借金額 | 年収 | おすすめ手続き |
---|---|---|---|
Aさん | 80万円 | 300万円 | 任意整理不要(直接交渉) |
Bさん | 350万円 | 400万円 | 任意整理 |
Cさん | 1,200万円 | 500万円 | 個人再生 |
Dさん | 800万円 | 失業中 | 自己破産 |
債務整理前に試すべき方法

債務整理には信用情報への影響などデメリットもあるため、少額の借金の場合はまず以下の方法を検討してみましょう。
おまとめローンの活用
- 金利の低い銀行系ローンに借り換えて総返済額を減らす
- 複数の借金を一本化して管理を簡単にする
返済条件の変更交渉
- 債権者に直接連絡して返済期間の延長や減額を相談
- 一時的な支払い猶予を依頼する
家計の見直し
- 固定費の削減や節約で返済資金を捻出
- 副業などで収入増を図る
家族からの援助
- 一時的な借入や贈与を受ける
- 親族に保証人になってもらいローンを組み直す
よくある質問
Q1: 10万円程度の借金でも債務整理はできますか?
A1: 法律上は可能ですが、費用対効果を考慮すると、まずは自力返済や債権者との直接交渉を試みるべきでしょう。
ただし、収入が極めて少なく返済が困難な場合は、少額でも債務整理を検討する価値があります。
Q2: 債務整理の費用を支払えない場合はどうすればいいですか?
A2: 法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用できる可能性があります。
また、多くの弁護士事務所では分割払いに対応しています。
無料相談で相談してみましょう。
Q3: 借金が100万円以下でも自己破産はできますか?
A3: 法律上は可能ですが、他の債務整理方法も検討すべきです。
自己破産はデメリットも大きいため、100万円以下の借金なら任意整理などの方法が適している場合が多いです。
まとめ
債務整理を検討する際の金額の目安をまとめると
- 少額(~50万円):まずは自力返済や債権者との交渉を検討。難しければ任意整理
- 中程度(50万円~300万円):任意整理や特定調停が適している場合が多い
- 高額(300万円~):個人再生や自己破産を検討する価値がある
ただし、借金額だけでなく収入や家族構成、資産状況などを総合的に判断することが重要です。
最終的には、法律の専門家(弁護士・司法書士)に相談して、自分に最適な債務整理方法を選ぶことをおすすめします。
多くの法律事務所では無料相談を実施していますので、「借金額が少なくて相談するのは申し訳ない」と遠慮せず、まずは専門家に相談してみることが問題解決の第一歩です。